NHK「朝の随想」(NHK新潟放送局)

昭和40年から放送されているNHK新潟放送局制作「朝の随想」の原稿をご紹介いたします。平成18年4月〜9月までの期間、毎週月曜日に放送いただいた内容です。

放送第24回 登れば登る道はある

私は、以前はまちづくり活動にも全く加わっておらず、何かの組織のリーダー役をすることもなかった、いわゆるどこにでもいる普通の男でした。こんな私がある日、市民組織を立ち上げ、いくつもの組織を動かすようになったのですから、リーダーシップについて聞かれることがあります。リーダー役としては未熟な私ですが、今までを振り返って大切だと思ったことをお話します。

リーダーシップに必要なのは「カリスマ性、頭の良さ、しかるべき年齢」の3つではありません。誰よりもそのことを大切に思い、誰よりも深く考え、何とかしなければいけないと強く思う気持、つまり「信念」、そしてやるかやらないか、「実行」この2つです。「俺にはカリスマ性などないし、頭も良くない、ましてこの年では駄目だ」ではないのです。たとえカリスマ性があっても、苦しい状況になり、その人が投げ出してしまえば、それでお終いです。またどんなに頭の良い人が素晴らしいアイデアを出しても、実行しなければ世の中、何ひとつ変わりません。年齢も「私は年だから」とか「俺は若いので」と言う人がいますが、50代、60代から素晴らしい町づくりを始めた人などざらにいますし、北海道で一大旋風を巻き起こし、全国に大ブレイクさせたYOSAKOIソーラン祭り、これを立ち上げた人は当時まだ21歳の学生です。リーダーシップに大切なのは「信念」そして「実行」この2つなのです。その人の「思い」と「行動」にこそ人がついてきてくれるものなのです。実行とは言葉を変えれば「一歩前に出る勇気」のことです。私はこの8年間に「町屋の公開」はじめ5つの町おこしと「町屋再生」など2つの町づくりを行ってきました。しかし次々立ち上げたこれらの取り組も計画してやってきたことではありませんでした。

「今やらなければ」と、ある日、勇気を持って一歩前に出たのです。そしたらいきなり大きな壁にぶつかってしまいました。扉もなければはしごもない、「もう駄目だ」とその壁を力任せに蹴飛ばしたらズドンと倒れて前に進むことができたのです。そうして歩いていたら次に進む道が見えてきました。「そうだ、こっちだ」と進んで行くと、またしても壁が現れました。今度は叩いても蹴飛ばしても倒れない。「今度こそ駄目だ。万事休す」と思った時、手を差し伸べてくれる人が現れました。そしてその壁を乗り越え、歩き出したらまた新しい道が見えてきたという繰り返しでした。「一歩前に出る勇気」を持って前に出た、そのことが最後には頑強な壁をも乗り越え、結果としてこの8年間でいろんな取り組みをやってきたということだったのです。ことわざに「天高くそびえて見ゆる高根にも、登れば登る道はありけり」と言う言葉があります。たとえ険しく困難だと思うことでも、「進めば、道は開ける、やれば、やれるのだ」ということです。まずは勇気を持って目の前の一歩を踏み出すことが大切ことではないかと思うのです。

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