NHK「朝の随想」(NHK新潟放送局)

昭和40年から放送されているNHK新潟放送局制作「朝の随想」の原稿をご紹介いたします。平成18年4月〜9月までの期間、毎週月曜日に放送いただいた内容です。

放送第14回女房とまちづくり

8年前、まちづくりの世界に足を踏み入れることになったのですが、突然知らされた町の一大事に一体どうやって立ち向かっていいのか、まさに不安と孤独からの出発でした。そんな中で私を最初から理解し励まし支え続けてくれたのが両親であり、女房だったのです。女房はその後、私と一緒になってまちづくりを考え活動をするようになりました。村上が大好きになり、遂にはこの村上のまちづくりを本に書き、出版してしまったのですが、今日はそんな女房の話をしてみたいと思います。

結婚し今年で10年ですが、暴露話をすれば、神戸出身の女房は、こんな北国の田舎町には嫁ぎたくないとかなり大暴れをしたのです。結局私と恋愛で結婚したのですが、驚くことに通算50回のお見合いをしたつわものでした。両親に紹介しようと初めて村上に連れて来た時のことです。都会にはない自然の素晴らしさをと、自慢の笹川流れに三面川、そしてお城山を案内しました。喜んで帰ってもらったと安心したその翌日「村上には山と川と海しかなかった。こんなところではとても生活できません」となんと結納の日取りまで決めたのに結婚をキャンセルしてきたではありませんか。それから一年の時が経ち、もう一度村上に連れて来たとき、今度はショッピングセンターやスーパー、銀行など都会的な村上を見せたのですが、「便利なのは分かりました。でも百貨店のない町にはお嫁に行きたくない」と言ったのです。「それじゃ百貨店と結婚しろ」と彼女を突き放した時、初めて目覚めたのか、やはり結婚しようということになりました。実はこの後もう一度、話がひっくり返り散々な目に合ったのですが、結婚して一日目の朝、村上での生活を憂いてか、なんと布団の中で涙を流している女房を発見し、真っ青になりました。

こんな女房を、村上に閉じ込めておいては爆発し逃げられると思い、なるべく外に連れ出すようにしたのですが、結婚後間もなくまちづくりを始めるようになり、全国の市町村を回り勉強を始めたわけです。「国内旅行は年をとってから、若いうちは海外旅行よ」といいはる女房でしたが、結局いっしょに全国の歴史的な町並みを中心に何十箇所も訪れ勉強しているうちに、日本の地域文化の多様性と、その独自の町並みの美しさに感動し、地元村上にものめり込んでいったのです。

「決死の覚悟で村上に来た」という女房でしたが、まちづくりにかかわったことで村上が大好きになり、村上のまちづくりを本に書き出版したり、遂には主人の私を差し置いて村上市から表彰されるまでになったのです。女房は百貨店以上の生きがいを見出し、すっかり村上に根付いてしまいました。今や私のまちづくりの大切な相談相手であり、内助の功に助けられ感謝していますが、女房が大爆発することもなく、夫婦で無事10年やってこれたのは何を隠そうまちづくりのお陰だったのです。

戻る